パ パ マ マ ・ セ ミ ナ ー ![]() パパが知りたいことってなにかな? と聞いてみました。 するとNo.1 は、妻に関する心配でした。 「子育てで大変な妻が心配」 「かわれるものなら、かわってあげたい」 「夫婦のコミュニケ―ションはどうしたらいいのか」 急に親になったけれど、と困惑ぎみのパパ。 赤ちゃんのことで、精一杯のママ。 そんな赤ちゃん家族に、 地域の専門家や、子育てのエキスパートが アドバイスします。 |
パパ・ママも、食べて知ろう!「離乳食」の世界 助産師 中西貴子 目次 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() | ||||
![]() 離乳食はなんのためにあるのでしょうか。「成長するため」「母乳で摂れない栄養の補完」「ご はんを食べるための、かんだり飲み込んだりする練習」……いろいろな見方ができますよね。 ◎栄養より、味の経験です 「栄養のため」というのは、実は、離乳食初期にはあまり関係ありません。この時期の栄養は母乳やミルクで十分摂取できますので、栄養を摂るというイメージは少しランクを下げてください。量についても、たくさん食べる子もいれば少ししか食べない子もいますが、気にしないで大丈夫です。 食べ物には、甘いもの、しょっぱいもの、酸っぱいもの……そんな味の発見をさせてあげる機会を作るのが離乳食です。いろいろな味を経験しながら、「ごはんって楽しいね」「おいしいものがいろいろあるよ」ということを伝えてあげることが大切です。 ◎お口の動きの練習 味の経験とともに「かんだり飲み込んだりする練習」も大切です。私たちが食べたり話したりするときに無意識にしている口の動きは、とても複雑な唇と舌とあごの動きの連動です。それを離乳食を通して少しずつ学んでいきます。 液体を飲み込むことしかできなかった赤ちゃんが、ドロッとしたものも飲み込めるようになり、やがて自分でつぶしたりかんだりできるようになっていく、この過程のひとつひとつに意味があります。 ◎食育のゴールは、どこでしょう また、離乳食は食事の時間をしっかり決めてあげることで、早寝早起きの規則正しい生活のリズムを作ります。また、食習慣を教えていくという意味もあります。 さらには、私たちの食文化、わが家の味を次の世代に伝えていくということがありますね。思春期のころになると、お友だちとファーストフードなどを食べる機会が増えるでしょう。親から離れても、食材の安全性や、誰がどんな思いで作ってくれたかを考えることができる。ランチに食べたものを振り返って夕食メニューを選ぶなどバランスまで考えることができる。そんなふうに自分の食生活を自分で選択していけるようになることが、食育のゴールです。 今はスタート地点にたったところ。私たちの食文化を引きついでいく長い道のりの第一歩なのですから、「口に入れたものを出してしまう」「遊び食べをする」「汚れる」などの悩みがあっても、それは一時的なことなので、「まだそういう時期なのね」とのんびり構えてあげればいいと思います。 ![]() ![]() お口の動き① おっぱいを飲む動き 赤ちゃんが母乳やミルクを飲むときの口を観察してください。 ○唇がすこしめくれるぐらいまで、乳首を深くくわえる ○そこに舌がついてきて、ほ乳する これを真似てみましょう。大きく口をあけて、舌を前方に出した状態で、水分を飲んでみます。とても難しいですよね。赤ちゃんはこの状態で呼吸もしながら飲んでいます。 これは、おっぱいを飲むために生まれつき備わったお口の動き。反射的にこの動きしかできません。だから離乳食を早く始めようとしても、この機能が消えないかぎりは難しいです。 お口の動き② 生後5か月頃の、舌をべーと出す動き 5 か月頃になると、舌を前方に出す動きができるようになります。やはり、反射的にこの動きしかできないので、食べ物をのせると「べー」と押し出してしまいます。新しい味に対してとっさに舌が前に出てしまうのです。だから、一度「ベー」と押し戻してきても、あごについたものをもう一度スプーンですくってお口につけてあげる。そうやって繰り返すことで、少しずつお口に違うものが入ってくることに慣れていきます。 お口の動き③ 初期のベビーフードを食べてみよう 唇、舌、あご、呼吸に意識して、赤ちゃんの離乳食を一口食べてみてください。赤ちゃんが獲得していかなければいけない動きがとても複雑であることがわかります。 ゴックンするためには、まずスプーンの食べ物を、唇を閉じて口のなかに収め、次に舌を上あごのあたりにつけて、息を止めて飲み込んでいます。赤ちゃんは離乳食の最初の一口のために、これだけのことを覚える必要があるということを知っておくだけで、お母さんの離乳食に対する焦りもだいぶ減るのではないでしょうか。 食べ物を唇でとらえに行くのにも時間がかかります。凹凸の大きいスプーンだととらえきれないので、平らなスプーンで優しく舌の中央にのせてあげるのがコツです。 お口の動き④ 歯ぐきでカミカミしてみよう 前歯が少し生えてきたころになると、舌が器用になってきて、上下だけでなく左右に動かして、食べものを横にずらして歯ぐきでかめるようになってきます。 蒸しパンでやってみましょう。パパやママたちは歯が生えているので、歯でかめますが、赤ちゃんは歯ぐきで、とイメージしてください。歯ぐきでカミカミした食べ物を、最後は舌が再び中央に戻してゴックンします。 ![]() ![]() 離乳食というのは、これだけの段階をふんでいく練習期間です。だから急いで進みすぎないようにしましょう。舌が前後にしか動かない時期には、何度「べー」っとしても、すくってお口に入れてあげることを繰り返してあげてください。舌が上下に動かせるようになったら、「舌で簡単につぶせる固さかな?」と考えてあげることが大切です。だいぶ上手にかめるようになってきてからも、舌がお口のなかで自由に動かせるためには、一口量は少なめにしてあげてください。 食事のときに、赤ちゃんがお口をよくモグモグと動かしているかを観察しましょう。お口に入れたものをかたまりでゴックンしていることに気づかず、「うちの子はよく食べる」と思って、そのまま大人と同じような食事にしていってしまうと、3 歳ぐらいになったときに、まったくかまずに食べる、早食いの子になってしまうこともあります。そうなってしまってから、かむことを教えなおすことはとても難しいことなので、離乳食の時期に、今のプロセスができているかどうかを確認しながら、ゆっくりと進めていきましょう。 ![]() ![]() 次にちょっと私からのいじわるをします。ラベルをはがした離乳食のビンを何種類か用意しましたので、これを食べてみましょう。 もしかしたら、苦手な食材かもしれません。どんな味かもわかりません。何かわからないと不安ですね。赤ちゃんはそういう気分で口に食べ物をのせられています。だから最初から大量に入れられると、「うー、なんだこれ、べー」っとなってしまうのも当然のこと。初めての味にチャレンジするときには、一口量をいつもよりさらに少量にしてあげるとよいと思います。 ![]() ![]() 事前アンケートでいただいた、パパやママたちの「離乳食について気になること」について、お答えしていきたいと思います。 ◎「食べない」 5 か月くらいの赤ちゃんだと、まだ食べる時期になっていないかもしれません。それ以降でも、赤ちゃんによって離乳食への反応はまったく違います。好奇心旺盛で、次から次へと食べたい赤ちゃん、新しいものでも「ちょうだい、ちょうだい」という赤ちゃんもいれば、次に何をされるのか恐くてたまらない、慎重な赤ちゃんもいます。そういう赤ちゃんに、無理に「食べて、食べて」とぐいぐいやると、食べること自体がきらいになってしまうこともあります。 そうなると次のステップに進むのが難しくなることもあるので、赤ちゃんに聞きながら進めてみましょう。具体的には、唇に「おうかがい」しながら進めていく感じです。 スプーンに少しだけすくって、赤ちゃんの唇にチョンチョンとあてます。すると舌が出てちょっとだけ味見して、OK のものもあれば、「べー」っとするものもあるでしょう。OK が出たら、舌の中央にそっと置いてあげるというような進み方をするとよいと思います。 ◎「すぐにおっぱいを欲しがる」 少し食べてすぐにおっぱいを欲しがるなら、赤ちゃんにとってはそこでその回の離乳食は終わりにしたい意思表示なのです。だから終わりにしておっぱいをあげてください。赤ちゃんと大人の時間の感覚は違うので、だめならすぐに撤収でいいです。 ◎「手づかみ食べ」 手が出てパパやママのスプーンを取ろうとする赤ちゃんには、もう1本赤ちゃん用スプーンを渡してください。それで満足します。パパ・ママが食べさせているあいだに、スプーンで食べ物をつついたりかき回したりして練習します。 手づかみでぐちゃぐちゃされるのは、パパ・ママにとっては一番嫌なことだと思いますが、手づかみ食べを経て、お口と手の動きが連動して、じょうずに食べられるようになっていきますから、自分から手を伸ばして食べようとする意欲を喜んでください。 手づかみしていたものが、偶発的にお口に入って「あ、おいしい」という経験が重なって、「食べるのって楽しい」という意欲につながっていきますので、どんどん手づかみ食べさせてあげてください。 前歯が生えてきたら、歯でこそげとるという食べ方ができるようになりますので、手にもって食べられるような形のものも用意してあげるとよいと思います。 ◎「便秘」「下痢」 食べ物が入ってくると、腸内の菌の組成がちょっと変わります。新しいものを食べると、一時的に便秘になる赤ちゃんもいます。新しい食材は1 品ずつチャレンジして、便秘がひどくなったら一歩戻るというように、行ったり来たりしながら進めるとよいと思います。 また、下痢をしたり風邪をひいたりすると、せっかく進んでいた離乳食を食べなくなることもあります。そうなったら一歩も二歩も戻って、またドロドロのものやおかゆなど、食べられるところからやり直しましょう。一度通った道ですから、体調がよくなれば、前ほど時間もかからずに元に戻ります。 ずっと一本調子で進む赤ちゃんはほとんどいないので、焦る必要はありません。 ◎「アレルギーが心配」 離乳食期の初めての食べ物への反応を、私はすぐに「食物アレルギー」ととらえず、「食物びっくり症」と呼んでいます。初めて食べるもの、特にタンパク質に対して、からだがびっくりして、下痢したり湿疹が出たりすることもあります。少し間を空けて、腸が十分成長してからもう一回食べさせると、ケロッとして大丈夫なこともあります。 なぜ食物びっくり症がおきるかというと、私たちは食べたタンパク質を最小単位であるアミノ酸にバラバラに分解します。しかし赤ちゃんはこの働きが未熟なので、大きなかたまりに消化してしまいます。それが腸に入るとびっくりして、異物が入ってきたと思ってからだが攻撃するんです。本来人間のからだを作っているのはすべてアミノ酸なので、びっくりするものではないのですが、まとめて大きな単位になってしまうと、一種の異物になってしまい、からだが反応してしまいます。でも胃腸が成長してタンパク質をバラバラに崩せるようになると、その食べ物を食べられるようになります。これがだいたい3 歳ぐらいです。 赤ちゃんに新しい食材を食べさせるときには、午前中または午後の早い時間に食べさせてみましょう。もし反応が出ても、すぐに病院に行けます。また、アレルギー反応が出るのは、1回目よりも2 回目のほうが強くなりますので、最初よりも注意してみてください。最初にタンパク質が入ってきたときは「これ、何だろう?」とからだがクエスチョンになるだけなのでアレルギー反応はあまり起きませんが、2 回目は「あ、この間のヤツだ!」とからだが反応するからです。 湿疹などの反応が出たら、その食材はいったんお休みします。そして小児科に行き、お医者さんに相談しましょう。その結果によって、「一時やめましょう」「次はいつぐらいに食べさせてみましょう」というように、段階的に考えていくことになります。 家族に重いアトピー性皮膚炎やぜんそくの人がいる、という場合には、1 歳過ぎまで卵を避けると、小麦や大豆のアレルギーも誘発されないですむという文献もあります。そうでなければ、卵も固ゆでなら中期から食べさせて大丈夫です。 アレルギーが心配で、離乳食を始めるのを遅らせる方がいますが、最近の研究では、離乳食の開始時期が遅いことの弊害がデータとして出てきています。食事に興味が出る5 ~ 6 か月ぐらいに始めると、腸が活発化して消化能力もあがってくるので、そのぐらいの時期から始めるのがよいと思います。タンパク質も、からだに入ってなじんでくれる時期があるので、あまり遅くしすぎるのもよくないようです。あまり怖がらず、1 品ずつ増やしていってあげるとよいと思います。 ![]() ![]() 助産師として離乳食についてどんなお話をしようかと考えて、栄養学の立場から1 冊、育児や発達の視点から1 冊、文化人類学の領域から1 冊、と3 冊の本を読み、いろいろな考え方があることを知りました。そして、たくさんの情報に取り囲まれているママたちに、むしろ、「ほどよい加減の離乳食」をおすすめしたいと思いました。 なにごとも状況に合わせた「ほどほどの」ところがちょうどよいという意味で、今回はポイントを押さえた「ほどよい加減の離乳食」のお話をさせていただきました。 人類学の立場からいうと、離乳食の完了は5 歳なのだそうです。逆におもしろいのが、人類の祖先であるホモサピエンスのさらにひとつ前、ネアンデルタール人の時代には、離乳食は非常に早かったようです。自然界で生き抜いていくためには、すぐに食べられなければいけなかったからでしょう。 別の資料のなかには、「時期がくれば誰でも必ずゴールに達成する」とありました。パパやママたちのなかに、まだ離乳食を食べている人がいないように、多少の好き嫌いがありながらもきちんと大人の食事ができているように、赤ちゃんもいずれ必ず食べられるようになるのです。 時代によって、環境によって、国や文化によって、離乳食もさまざま。でもみな、悩みながら迷いながらも、きちんと進んでいくのは、赤ちゃんが「今はまだそれは食べられないよ」「自分の手で触ってみたいよ」「おなかがびっくりしちゃったよ」と、そのつどサインを出してくれているからかもしれません。 赤ちゃんの様子に合わせて、あせらずにゆっくりと進めていくのが、パパ・ママにも赤ちゃんにももっとも負担なく楽しい食事の時間になるコツだと思います。(2013 年11 月18 日実施)
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パートナーと話そう! ライフプラン、キャリアプラン 【ワークシート付】【ママの仕事の心配Q&A 付】 キャリアカウンセラー 山本まゆみ 目次 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
![]() 皆さん、いろいろなキャリアをお持ちだと思います。未来への思いも、「子どもがもう少し大きくなったら…」「もうすぐ復職です」「せっかくなら、何か新しいことをしたい…」など、きっとさまざまですよね。 ライフプラン、キャリアプランというのは、自分が今後こうなっていきたい、こんなことをしたいという希望や目標です。仕事だけでなく、資格や趣味の世界でもいいですし、家族全体の形、二人目の出産とかマイホームの購入ということでもよいと思います。プランとして考えていくと、将来のいろいろなことが見えてきます。 現在を出発点に、時間軸に沿って、1 年後にはこんなことを始めよう、2 年後にはこれを実現しよう……と書き込んでみましょう。書くというのは、七夕のときの短冊とか、受験のときの「絶対合格!」「必勝!」という貼り紙のように、自分の気持ちを正直に表して、明確にする意味があります。 2020 年東京オリンピックをひとつの目標に 新しいポイントとしては、2020 年の東京オリンピックの開催決定があります。7 年後の欄に、まずは「東京オリンピック」と書いていただくと、東京にお住まいの方にはひとつの目標になると思います。7 年後というと、今のお子さんが小学生になっている頃ですね。オリンピックに向けて、さまざまな雇用が創出されることが予想されます。ですから、これからのお仕事のチャンスとしてとらえることもできると思います。 たとえば、英語ができる方はそれまでにTOEIC や資格を取って準備をするとか、建物もたくさん建つと思いますので、宅建の資格を取るとか。また、観光業やサービス業もさかんになってくると思います。これまでの経験やキャリアが生かせる場を探すのもよいですし、新たな目標にチャレンジするのもよいですね。 ライフプランは、1 度書いたら終わりではありません。むしろ、毎年書きかえていくことをおすすめします。家庭の事情は次々と変わるもの。そのつど軌道修正していけばよいのです。たとえば毎年お正月に、あるいは誕生日に、書いてみるのも楽しいと思います。 そしてライフプランのシートをきっかけに、パートナーと将来の家族の計画や目標、夢について会話をしていただきたいですね。家族で同じ未来を見つめて進んでいくのが、やはり一番大切なことになると思います。 ![]() ![]() ![]() ◯キャリアプランには自分の仕事や習い事、資格取得などの目標を。 ◯ライフプランには出産やマイホーム購入、旅行などの予定を。 ◯夫、おばあちゃんの欄にはパートナーや子育て協力者のことを。 記入例 ![]() ![]() ![]() 復職してしばらくは時短や育児時間の制度を使って働きながら、徐々にフルタイムに戻していこうと考えています。いずれもう一人子どもが欲しいのですが、復職した方に話を聞くと、皆さんそのタイミングが難しいと言います。 A 産みたい時期に産んでいい。仕事はあとからついてきます 育休を取り、復職してからは時短を使うということで、どうしても同僚に対して申し訳ないという気持ちになってしまいますよね。一人目はすんなり取れた育休も、二人目となると取りにくくなるという話もよく聞きます。最近は第一子を出産する年齢も上がってきているので、もう一人産みたいと考える場合、そんなに何年も猶予がないとおっしゃる方もいます。 私は、第二子が欲しいなら、早めに考えてもいいと思います。続けて産んで、何年かは会社にも待ってもらい、その後はしっかりと働くということも、会社での実績や信頼関係が築けていればできると思います。 実際には、なかなかそれは難しいということもあるでしょう。今の会社を続けるなら二人目は難しい。でももう一人産みたい。そんな声もよく聞きます。その場合は、自分のなかで優先順位をつけて考える必要も出てきます。 子育てをきっかけにキャリアチェンジをする方もたくさんいます。今まで事務職や営業職だったけれど、サービス業にチェンジするとか、仕事を休んでいる間に保育士の資格を取って保育園や子育て支援センターなどで働くとか。子育てを経験することで、自分の興味や関心が変わってくることもあります。 私自身、子育て期には数年仕事を離れ、その後内職やパートをいくつも掛け持っていた時期もあり、家で塾を開いていた時期もあり、その後また正社員に戻り……と、その都度家庭の事情に合わせて、職も働き方も変えながら今日まで来ました。 ですから、今の会社との関係を大切にしながらも、自分が産みたい時期に二人目を産んでいいと思います。働きたい思いがあれば、仕事はあとからついてきます。それが今の会社なのか、別の仕事なのか、どんな働き方なのかは、そのときのあなたや子ども、家庭の事情に合わせて選択していくことだと思います。 ![]() Q 就職先が見つかるか心配 出産を機に仕事を退職してしまいました。子どもが3歳ぐらいになったら仕事をしたいと思っていますが、年齢(4 0 代)を考えると、どんな仕事があるのか不安になります。 A マザーハローワーク、就労支援センターなどで相談できます 世田谷区では、住宅地ならではの求人が多いですね。病院や介護施設、あとは保育関係です。飲食系やサービス業も多いです。事務職も区内の小さな企業の募集はたくさんあります。大きな会社は数も少なく、求人は派遣社員が多いです。 まずは自分が住んでいる地域にどんな仕事があるかという情報を集めることから始めましょう。世田谷区の隣の渋谷区にはマザーズハローワークがあり、子どもを連れていけるスペースがあります。私が働いている就労支援センターも、「おしごと相談」コーナーがあります。ベビーカーで入れる求人情報スペースや、キッズスペースやセミナー時には託児サービスもあります。そういうところでぜひ情報収集してください。 自分の希望の職種と今の時代や地域のニーズが合っていないこともあります。求められている職種は何か、そのなかで自分にできる仕事、興味が持てる仕事はどんなものがあるか、どんな雇用形態があるのか、ということも考えていただけるとよいと思います。そして、仕事から離れている今の時間を利用して、資格取得や勉強をするなど、仕事復帰に向けての準備期間にできるといいですね。 ![]() Q 子どもの成長が心配 少しでも保育園に入園しやすい4 月に復職する予定ですが、子どもはまだ0 歳児なので、長時間預けておくことで子どもに負担がかからないか心配です。 A 子どもはママが好き。自信をもって 子どもと話す時間がたくさんあること、お料理を一生懸命手作りすること、どちらも子どもの心身にすごくよいことです。子どもと過ごす時間はとても大切です。それがわかるからこそ、小さいうちから1 日保育園に預けておくことに罪悪感を感じてしまう方もいらっしゃるかと思います。でも、手をかけたり心を配るというのは時間の長さだけではないと思います。子どもと過ごす時間が少ない分、一緒の時間は濃密に過ごせるという方も多いですよ。 子どもは常にママの背中を見ています。子どもはいつでもやっぱりママが大好きです。だから自信をもっていただいてよいと思います。 ママっていろいろな仕事をいっぺんにこなしている。洗濯しながら掃除して、ごはんを作って、子どもの世話をして、一緒に遊んで……。それってすごいことです。そんなママを子どもは見ています。子どもが小学生ぐらいになると、子どももわかってきます。私も「仕事をしていてくれて、ありがとう」と言われて感動したことがあります。だから、自信をもってイキイキと働いていてください。 ![]() Q 仕事から長期間離れ、復帰後自分が通用するか不安 保育園に入れず、会社の制度いっぱいまであと1 年育児休業を伸ばす予定です。ありがたいですが、2 年も仕事を離れ、復帰したときに通用するか不安になります。 A 子育てで確実にキャリアアップしています 今の社会は変化が早く、確かにOS もどんどんバージョンアップしていきますし、時代に遅れていきそうな不安をもつ気持ちはよくわかります。でも私は、子育てによってママたちはたくさんのスキルを身につけて、確実にキャリアアップしていると思います。 たとえば、仕事をする上でもっとも大切といってもよい「コミュニケーションスキル」。古民家mamas のような場所に来て、いろいろな方とお話をすることによって、コミュニケーションスキルや情報収集能力は身についているのではないでしょうか。直接人と話すことはとても大切なことです。今までコミュニケーション能力があると思っていなかったママが、子育てで新たな才能が芽生え、現在は営業職でがんばっている方もいます。 そのほかにも、「母は強し」で、睡眠不足でも乗り切れるようになったとか、子どもを抱くことで腕力がついたというのも、ひとつのキャリアアップです。 私が一番子育て中に鍛えられたと思うのは、「段取り力」です。これをやってあれをやって、子どもが寝ている間にこれをやって……。とにかくすごい勢いで頭を回転させて時間配分や段取りを考え、いくつものことをこなしていく。そうでないと1 日として過ごせませんよね。 職場復帰した方たちも、とにかく1 分1 秒でも早く子どもを迎えに行くために、すごい集中力と効率で仕事をこなしています。そこに気づいて、子育て中の女性やシングルマザーを積極的に採用する会社も、わずかですが出てきています。今後、子育てが仕事をする上でもひとつのキャリアになる時代がくるかもしれないと期待しています。 ![]() ![]() ママたちにとって、これからの働き方を考えるというのは、いつも頭のどこかにある宿題の ようなものかもしれません。ライフプランシートは、それを時間軸で整理していくものです。 また別の角度から、自分に合った働き方を整理していく方法もあります。 自分はなぜ働きたいのか ひとつは、自分はなぜ働きたいのか、その動機を考えてみることです。 ◯生活のため、家計を支えるため ◯将来の目標(マイホーム、子どもの教育費など)のために貯蓄をするため ◯子どもとずっと一緒だと息がつまるから ◯社会との接点がほしい ◯自分が社会で必要とされている実感がほしい ◯これまでのキャリアを無駄にしたくない、もっとキャリアアップしたい など、それぞれ働きたい理由があると思います。それを整理することによって、次の行動の選択肢が絞られてきます。 たとえば自分が家計の大黒柱になる必要があるなら、とにかく安定した収入がある正社員の仕事を探す必要があります。キャリアを無駄にしたくない、キャリアアップや出世をしたいというなら、保育園や家族の協力など、現在の会社で働き続けられる環境を作っていく努力が必要になります。社会との接点がほしいというなら、ボランティア活動や地域活動のような形で自己実現することも可能かもしれません。 ![]() ![]() ダウンロード ![]() ![]() ![]() ![]() 私は子育てや夫の家族の事情などで、仕事を途中で転職する機会が何回かありました。子育て期のパートやアルバイトを経て、正社員の職を見つけて10 年以上働きましたが、夫が病気になり、二人とも会社を辞めて病気と闘うことを決めたこともありました。子どももまだ教育年齢でしたし、途方にくれましたが、今から思うと病気と二人で闘ったときに、社会貢献ができる今の仕事に巡り合えて、資格も取得しました。あの経験がなかったら、今の自分はなかったと思います。 子どもが小さいころからいろいろありましたが、むだな一歩はないなと思います。何か一歩出してみる。そのときは「失敗だったかな」と思うこともありましたが、後から思うと「あのときに一歩出していてよかったな」と思うことがほとんどです。 たくさんの悩みや迷いがあると思いますが、そのときによいと思った方向に、まずは一歩踏み出してみてください。そのための相談にはいつでも乗りたいと思います。ぜひ一度、就労支援センターに足を運んでください。 |
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![]() 子育て家族のみなさまへ 津田 私は世田谷区役所のほど近くで、つだ小児科クリニックを開業しています。きょうは、鼠径(そけい)ヘルニアの先進の手術について、埼玉県立小児医療センター小児外科の天野日出(ひづる)先生にお話をうかがいます。 私のクリニックでも鼠径ヘルニア(脱腸)の診断をすることは多く、専門的な治療や手術が必要な場合は、世田谷区内にある国立成育医療研究センターをご紹介しています。 ただ、ご紹介した先のことには関心をもっていなかった、と気づき、ちょっと慌てました。 治療や手術はどのようなものなのか詳しく知ることもなかったし、それを受けるお子さんの状態やご家族の気持ちなどをお聞きすることもなかったのです。 そこで、ここ1週間、診断の合間に、手術を受けていただいたお子さんの来院を待ち受けて、お母さま方に「治療や手術にあたって、どんなことが心配でしたか」と質問してみたところ、いろいろな不安をお持ちだった、とわかりました。 そのような子育て中の親御さんの気持ちを代弁しながら、私自身も知っておきたい鼠径ヘルニアの手術について、天野先生にきちんとお聞きしたいと思っております。よろしくお願いします。 天野 こちらこそよろしくお願いします。鼠径ヘルニアの発症率は5%、つまり20人~30人のお子さんに一人という高さなのに、あまり知られていない現状を日頃からなんとかしたいと感じてきました。 私どもは最善の治療を日々模索していますが、医療機関としては、つだ先生のクリニックのようには、子育て中のご家族にとって身近な存在ではありません。地域の小児医療に尽くしておられるクリニックの先生にご説明できて、それを子育て中のご家庭、お母様方が読んでくださる、というまたとない機会をありがたく感じています。 ![]() ![]() おなかの臓器の一部が飛び出し、足の付け根(鼠径部)がぽこっと腫れる病気です 津田 まず、鼠径(そけい)ヘルニアとはどういうものなのか、というところから始めましょうか。 天野 鼠径ヘルニアとは、足の付け根である鼠径部に腸などのおなかの臓器の一部が飛び出しぽこっと膨れる病気です。脱腸(だっちょう)とよばれることもあります。 胎児のとき、男の子の精巣(せいそう)はおなかのなかで作られ、生まれる直前に陰嚢(いんのう)に下りてきます。そのとき、おなかの臓器を包む膜(腹膜)が引っ張られて袋状になります。女の子の場合はヌック管と呼ばれる管が下りてきて、腹膜が足の付け根に沿って袋状にひっぱられます。 通常この袋は、お母さんのお腹なかの中にいる間に、腹膜とつながっている口の部分が自然に閉じて腹膜と分離しますが、袋の口が閉じないまま生まれてくる場合があります。すると、お子さんが泣いたりいきんだり立ち上がったりしておなかに力が入ると、腸や卵巣(女の子の場合)がこの袋のなかにはまりこんでしまい、足の付け根がぽこっと膨れます。この状態を「ヘルニア」と呼びます。 鼠径ヘルニアは男の子に多い病気ですが、女の子にも起こります。また、生後すぐから見つかることもありますが、なかには小学生になってから気がつくこともあります。治療をせず、自然治癒もしなかった場合は、大人になってからでも起きることがあります。 ![]() ![]() 多くの場合は出たりひっこんだりの繰り返し。ひっこまない場合は早めの治療が必要です。 津田 助産師さんの新生児訪問や健診の時に鼠径ヘルニアを指摘されて受診される方もいらっしゃいますが、親御さんが足の付け根の膨らみに気づき、慌てて受診されることも少なくありません。 おなかに力がかかると症状が出るお子さんが多いので、泣いている赤ちゃんのおむつを替えたり、お子さんと一緒にお風呂に入って立って体を洗ったりしている際に、気づくことが多いようですね。足の付け根が常に腫れているわけではないので、膨らんでいる時に携帯などで写真を撮って持参してくださる方も最近は増えてきました。 天野 そうですね。病院を受診した時に必ず鼠径部が膨れているわけではないので、写真を持参していただけると診断の助けになりますよね。 泣いたりいきんだりしておなかの圧が高まり、腸や卵巣が一時的に袋の中に出て足の付け根が膨れても、多くの場合、泣きやんだり横になったりしておなかの力がぬけると、飛び出ていた腸や卵巣は自然におなかの中に戻ります。このように自然におなかに戻り、膨らみがなくなる場合は、慌てて受診する必要はありません。後日、お近くのクリニックを受診し、症状を相談してください。 津田 では、早めに受診する必要があるのは、どんな症状のときですか。 天野 泣きやんでしばらくしても鼠径部の膨らみが戻らない場合、まずは膨らんだ部分をやさしくマッサージしておなかの中に戻してみてください。戻れば急いで処置する必要はないので、後日受診してください。 戻そうとしても膨らみが戻らない場合には、なるべく早く病院を受診してください。医師が手で押し戻す処置をします。 それでも戻らない場合、つまり袋の中に腸などの臓器がはまりこんで抜けなくなってしまった場合には、手術で臓器をおなかのなかに戻す必要があります。そのままにしておくと、狭い袋の口で臓器が締めつけられ、血液が通わなくなって壊死してしまう危険性があるからです。鼠径部の膨らみが硬くなった状態を「嵌頓(かんとん)」と呼び、早急な手術が必要になります。 津田 なるほど。陥頓しているかどうか見極める必要があるのですね。 親御さんの判断のポイントはどういったところでしょうか。 天野 陥頓の場合は、足の付け根の膨れた部分が硬くなります。次第に赤黒くなることもあります。お子さんは、痛みや吐き気などの症状で不機嫌になります。 ![]() ![]() 治療の方法は手術のみ。数か月経過を観察し、自然に治らない場合は手術をします。 津田 鼠径ヘルニアはこのように陥頓(かんとん)の危険性があるために治療が必要なんですよね。実際に私どものようなクリニックで鼠径ヘルニアと診断した際には、外科の先生に治療を依頼しています。鼠径ヘルニアは残念ながら、薬での治療は不可能なので、手術で治す必要があるんです。手術となると心配される親御さんも非常に多いですが、手術の必要性や時期などに関してはどのようにお考えですか。 天野 ご指摘の通り、鼠径ヘルニアは陥頓の危険性があるので、原則、手術が必要になります。生まれてから数か月くらいたつと、自然に袋が閉じて治るお子さんもいらっしゃいますが、自然に袋が閉じずに手術が必要となるお子さんが多いのが実情です。1歳以下のお子さんは陥頓しやすく、陥頓を繰り返すお子さんには早めの手術をおすすめしていますが、陥頓の危険性があまりないお子さんの場合は、数か月外来で経過をみても自然に治らない場合に手術をしています。 津田 手術は具体的にどのように行うのでしょうか。 天野 臓器が入り込んでしまう袋を糸で縛って、おなかと交通しないようにします。手術方法は大きく分けて二つあり、足の付け根の膨らんでいるところを2cmくらい切る従来からある方法と、腹腔鏡を用いる比較的新しい方法があります。 私の勤める埼玉県立小児医療センターでは、腹腔鏡を用いて、おへそにつける小さな傷からだけで手術しています。具体的には、ガスでおなかを膨らませてスペースをつくった後、おへその傷から、おなかの中に直径3mmのカメラを入れ、その映像をテレビモニターに映しだし観察しながら、同じおへその傷から手術操作をするための細い器具を入れて手術をします。さらに膨らんでいる下腹部に注射針を刺して飛び出している袋を縛るので、実際の傷はおへそと下腹部の針痕の2か所のみです。下腹部の傷は針穴のみですので全くわからなくなりますし、おへその傷はおへそのしわに隠れてしまうため、ほぼ傷を残さずに治すことが可能です。 津田 お子さんの手術ですから、今後の成長や発達を考え、できるだけ体への負担が少なく、傷が目立たない手術がいいですよね。そういった意味では、腹腔鏡手術は非常に魅力的ですね。傷が目立たないという以外にも、従来の方法と腹腔鏡手術の違いはあるのでしょうか。 天野 腹腔鏡手術には、左右両側のヘルニアともおへその傷だけで同時に治すことが可能であるというメリットがあります。 左右どちらか片方のヘルニアになったお子さんの約5~10%が、その後に反対側の付け根も膨れてきて、両側のヘルニアになることが知られています。従来の方法(足の付け根を切る方法)では飛び出してきた方だけしか縛れないため、反対側がヘルニアになった時は、もう一度新たな傷をつけて手術を行わなければなりませんでした。 一方、腹腔鏡手術ですと、最初の片側の手術の際に、おへそから入れたカメラを用いて反対側が将来ヘルニアになるかどうか観察することができます。手術時に、反対側の足の付け根が膨れるなどの症状がなくても、鼠径部に向かって袋が飛び出している場合は予防的に反対側のヘルニアも同時に治すことができるのです。 津田 小さなお子さんの場合は1回1回の手術が体の負担になりますから、一回の手術で両方治せてしまうのは画期的ですね。 他に従来の方法と腹腔鏡手術に違いはありますか。 天野 まれではありますが、女の子の場合、アンドロゲン不応症(男性染色体をもって生まれたものの男性ホルモン(アンドロゲン)を感知しないため、女性の体型となる)が鼠径ヘルニアの背景にあることがあります。女の子の場合は、腹腔鏡手術でおなかの中を観察し、子宮と卵巣を確認することができるので安心です。 ![]() ![]() 腹腔鏡手術は熟練した技術が必要。小児医療センターなど高度医療機関が安心です 津田 鼠径ヘルニアは、お子さんの病気として比較的よくあるものですが、手術が必要になるという点で、親御さんの不安も大変大きいですよね。 天野 そうですね。鼠径ヘルニアは、手術が必要となるお子さんの病気の中で最も多く、小児専門病院以外でも多くの施設で手術を受けることができます。しかし、より小さなお子さんの手術は大人とは違った技術を要しますし、最新の腹腔鏡手術に習熟した医師は小児外科専門の医師でもまだまだ少ないのが現状です。 また、従来の方法でも、腹腔鏡手術でも、全身麻酔が必要になりますので、お子さんの麻酔に習熟した麻酔科医がいる病院ですと、より安心して手術をうけていただけるのではないでしょうか。 津田 腹腔鏡手術は最新の手術方法ですから、受けられる医療機関はかなり限定されてきますね。 天野 腹腔鏡で鼠径ヘルニアの根治手術を行っている施設は最近増加してきましたが、もっとも傷が少ない単孔式と呼ばれるおへそからのみの手術法は埼玉県立小児医療センター以外ではほとんど行われておりません。 津田 新しい手術方法ということで、再発や合併症の不安をもたれる親御さんもいらっしゃるようですが、そのあたりはいかがですか。 天野 鼠径ヘルニアの合併症としては、一般的に、手術をしてもまた足の付け根が膨らみ、再発する、袋に飛び出たおなかの臓器(腸、卵巣など)を傷つける、他の臓器(膀胱、精子の通り道である精管←不妊の原因となることがあります)などを傷つける、傷が膿む、手術中に出血する、といったことが知られています。 埼玉県立小児医療センターでは全国的にも早くから腹腔鏡手術を導入し、2007年から現在までに900例程行ってきました。そのうち最近の約600例は、腹腔鏡手術の中でも、お臍へその傷だけで行う方法で手術しています。当センターで腹腔鏡手術後に再発した方は2名で、今までに腸や卵巣、膀胱、精巣を傷つけたことはありません。おへその傷が手術後に膿んでしまった方は3名でした。手術中に圧迫止血を行った方は2名いらっしゃいましたが、それらの出血量もごく少量でした。従来の方法と比較し再発率や合併症は変わりなく、心配ないと考えています。 津田 埼玉県立小児医療センターのように、症例数が多く実績のある病院で手術できれば 安心ですね。年間の手術数は、手術する病院を選ぶ場合の指標にもなると思います。 天野 はい、埼玉県立小児医療センターでは、一般小児外科疾患である、鼠径ヘルニア、急性虫垂炎の他にも、さまざまな病気に対し内視鏡手術を積極的に行っており、小児の内視鏡手術件数は全国一となっています。 部長以下内視鏡手術のスペシャリストが揃っており、手術の開発、工夫、安全性などに関して多くの発信も行っております。埼玉県立小児医療センター、小児外科に関しては是非、ホームページを参照していただきたいと思います。 未来のあるお子さんたちの手術治療に対する親御さんの不安は計り知れないと思います。これからも、よりよい医療を目指し努力するとともに、このように親御さんたちに直接情報を発信していけたらと思います。 津田 貴重なお話をうかがうことができました。ありがとうございました。察しながら、同じおへその傷から手術操作をするための細い器具を入れて手術をします。さらに膨らんでいる下腹部に注射針を刺して飛び出している袋を縛るので、実際の傷はおへそと下腹部の針痕の2 か所のみです。下腹部の傷は針穴のみですので全くわからなくなりますし、おへその傷はおへそのしわに隠れてしまうため、ほぼ傷を残さずに治すことが可能です。 ![]() ![]() Q.6か月のときに鼠径ヘルニアがわかり、経過観察をしていましたが、1歳になり、自然治癒の可能性もなさそうなので、手術で治療してしまってはどうかといわれました。 手術をする場合、どのぐらい入院するのか、いくらぐらいかかるのかなど、具体的なことを知りたいです。 A.日帰りできる程度の手術ですが、しっかり経過をみるためには、1~2泊の入院が安心 手術自体は、従来の方法でも腹腔鏡手術でも、1時間弱程度です。いずれの方法でも全身麻酔が必要になりますので、手術前後の準備や麻酔の時間も含めると手術室の滞在時間は1時間半程度となります。 比較的短時間の手術であり、麻酔から覚めたら通常通りの生活が可能ですので、日帰りで手術を行っている施設もあります。当センターでは、手術前後も入院にてしっかり経過をみられるように、「手術前日に入院、術後翌日に退院」の二泊三日の入院期間としています。当センターではこれまで、術後翌日に退院ができなかったお子さんはいらっしゃいません。 学校に通っているような比較的大きなお子さんは、夏休みなどの長期休暇を利用して入院する方も多くいらっしゃいます。鼠径ヘルニアは陥頓さえしていなければ慌てて手術をする必要はないので、お子さんの体調や学校のスケジュールに応じて手術の時期を相談してください。 手術や入院の費用は施設ごとに異なりますが、自治体には子どもの医療費の助成制度があるので、自己負担はそれほど大きくならないと思います。お住まいの地域によって助成される年齢など詳細は異なりますので、調べてみてください。 ![]() ![]() Q.退院後の食事や生活(お風呂や運動など)の注意点はありますか。退院してすぐに保育園に通っても大丈夫ですか。 A.食事も運動も制限はありませんが、お風呂は外来診察で傷の具合を確認してから 手術翌日に退院する場合、食事制限は特になく、お子さんの体調にあわせて通園や通学が可能です。運動制限も特にはありませんが、大きなお子さんの場合、部活動などの激しい運動に関しては手術直後は控えていただくことがありますので担当の医師にご相談ください。 おへその傷は、消毒をする必要はなく、退院1週間後の外来までテープを貼ったままにし、そのままシャワー浴をします。1週間後の外来で、傷が問題なければお風呂やプールに入れるようになります。 経過が問題なければ、その後の外来通院は必要ありませんが、術後、心配な症状がある場合には、外来を受診するようお伝えしています。 (構成/赤石美穂、吉原佐紀子) ![]() ![]() 天野日出(あまの ひづる)/埼玉県立小児医療センター 小児外科医 医学生のとき、米国のボストン小児病院で勉強する機会がありました。病気から解放され、元気を取り戻した子ども達のキラキラしたまなざしは天使のようでした。未来を担う子ども達を病から救いたいとそのとき強く思い、このとき小児科医をこころざしました。 現在、全国でも屈指の手術件数を誇る埼玉県立小児医療センターで日々研鑽しています。 小児外科は一般にはまだ馴染みが薄い診療科です。診断や手術などの診療技術はこの数年で格段に進歩してきましたが、まだまだ発展途上です。お子さんの成長発達に十分配慮したよりよい治療を目指し、努力する余地がありますので非常にやりがいがあります。 小児外科にいらっしゃる親御さんはどなたも、お子さんに手術が必要ということで心配がつきないことでしょう。お預かりしたお子さんや子育てをがんばっていらっしゃる親御さんたちに寄り添える存在でありたいと思っています。 小児外科という診療科の特性として、お子さんや親御さんたちと触れ合うことは特に大切なことと考えています。 診療以外でもそのような場があればと思い、趣味のピアノとジャズダンスを生かし、クリスマスコンサートなども催しています。 ●ぜひ埼玉県立小児医療センター小児外科のHPをご覧ください。 http://www.pref.saitama.lg.jp/soshiki/q04/ 埼玉県立小児医療センター 小児外科 埼玉県さいたま市岩槻区馬込2100 TEL: 048-758-1811 FAX:048-758-1818 津田正彦(つだ まさひこ)/つだ小児科クリニック院長 医者になったのは歯科医であった父からの勧めがきっかけでした。小児科医を選んだのは、学生時代の授業、試験で広範囲にわたり、一番難しかったと思ったからです。 当時の恩師は先天代謝異常症という最もわかりにくい病気を授業でこともなく話をしている姿を見てあこがれました。大学に勤務時代はこの先天代謝異常症を専門としていましたが、結局最後まで理解できたとは思えませんでした。 また、4年間アメリカのNIHで遺伝子の研究をさせて頂き、学問以外でも貴重な体験ができたと思います。 開業してほぼ15年になりますが、今でもそのときの経験が生かせていると思います。大学病院や専門病院の先生のように深い知識はないかもしれませんが、より幅広い知識を得るように毎日勉強しているつもりです。 お母様に「この病気のことを知っている先生に初めて会いました。」と言って頂けたことが何回かあります。こんなときに勉強をしていて良かったと思います。もし生まれ変わったらもう一度医師になり、臨床をアメリカで勉強したいと思っています。 ●私のクリニックではFacebookとTwitterで色々な情報を発信していますので、是非見て下さい。 http://www.tsudashonika.com/ つだ小児科クリニック 東京都世田谷区世田谷4-5-8アルス世田谷ネクステージ1階 TEL:03-5477-7736 FAX:03-5477-7793 *東急世田谷線「松陰神社前駅」徒歩2分 |