子育て専門家からひとことメッセージ

  
  「記憶にはなくても、根っこになります」 助産師 岩佐寛子さんから

私たち助産師と赤ちゃんとママたちのお茶会という素敵な企画が、ここ古民家mamasで実現して、とっても楽しかったです。みなさんの悩みを聞かせていただいて、ありがとうございました。回ごとに、お子さんが成長するようすにも触れることができて、こんな幸せなことはない!と思いました。これからも、こんな気軽で楽しい会がもてるといいですね。
私がいつも思うことは、赤ちゃん時代は特別、ということです。赤ちゃん自身の記憶には残りにくいことですが、今、こうして手をかけ、愛をかけていることは、赤ちゃんのなかに残って、芯の強い子に育ちます。今は、「赤ちゃんが寝なくて辛い」「成長のことも心配」と思うかもしれません。でもそのお母さんの気持ちが、赤ちゃんの根っこになります。それを信じてがんばって欲しいと思います。なにかあったらいつでもご相談いただけたらと思います。どうもありがとうございました。(2012年1210)

(プロフィール/いわさ ひろこ……新生児家庭訪問や母乳相談のほか、子育て中のお母さんの心身のリラックスを考えた産後ヨガのインストラクターも。子どもたちに「生まれることはすごいこと」を伝えたくて、小中学校で「誕生学」のお話もしています。2児(大学生と中学生)の母)





  

   「もっと時間をあげたい、からだを休ませてあげたいです」 助産師 中西貴子さんから

みなさんは、いつ「お母さん」になると思いますか? 「赤ちゃんが初めて笑ったとき」と応えてくれた若いお母さんがいれば、ある大先輩お母さんは、「いつからお母さんになったかはわからないけれど、いつまでもお母さん業は続く、ということは感じています」と言いました。
今回、助産師とお母さんたちのお茶会を体験して、赤ちゃんを生んでから「お母さん」という実感をもつまでの間、もう少し時間をあげられるといいなあ、と心から感じました。
出産の体験で、お母さんは疲れていますよね。母乳を1回くらい休んで、気晴らしをしてきてもいいくらいなのに、お茶もご飯も、自分のことはほったらかしにして、育児に追い立てられてしまいます。お母さんになってすぐに直面する現実は、ほんとうに厳しいなあと感じます。からだを休ませてあげたい、と思います。そうしたら、お母さんは自ら自立していくでしょう。ゆっくり、ゆっくり、お母さんになっていっていいと思います。(2013年2月25日)

(プロフィール/なかにし たかこ……助産師として病院勤務をしているときに、いろいろなお産があることを知り、もっと学びたいと感じて、クリニックの他に、新生児家庭訪問や、区の健康保健課で電話相談を受けるなど、地域に飛び込みました。私自身が悩みやすい性格なので、専門的な指導やアドバイスというより、つねに、悩めるお母さんのそばに寄り添っていたいと思っています)




  

   「 “わたし自身”を、いちばん大切にしてください」 助産師 中園美智代さんから

お母さんたちへ。どうぞ、いつも自分を大事にすることを忘れないでください。赤ちゃん優先の日々だとは思いますが、自分のからだを大切にして、風邪をひかないように。そして、見えない心も大切にして欲しいと思います。
心を大切にしている、ということは、笑顔に現れます。お顔に出てくるのです。産後ママたちの美しい顔がしぼまないように、笑顔が続くように、大事にしてください。赤ちゃんだけではなく、パートナーの夫たちのことも大事にしてください。お父さんになったばかりの男性は、赤ちゃんみたいなところがあるんです。ですから、赤ちゃんだけでなく、新米お父さんにも目を向けてください。でも、本当は「いちばん大切にしなければならないのは、わたし自身」。そんなふうに思って、この季節を乗り越えてください。春が来ます。(2012年12月10日)

(プロフィール/なかぞの みちよ……助産師の仕事は、母子の命を見守り、生まれた赤ちゃんを一生懸命育てているお母さんに寄り添うことです。ですから、女の子の赤ちゃんには「将来、助産師になってね」と、つい話しかけてしまいます。開業助産師の傍ら、産後ケアセンター桜新町でも働いています(非常勤)。30代の息子がふたり、孫がふたりいます)
産後ケアセンター桜新町  http://www.musashino-u.ac.jp/sa_ca/





【スタッフの感想】

ママたちが質問する様子からは、初めての育児への不安がとても大きい、ということを感じさせられました。そして、助産師さんたちのアドバイスに、ママたちがどんどん安心していく様子も、手に取るようにわかりました。会を経て、何か月かして、そのママたちが、自信を持って子育てをしている様子が見られました(スタッフ藤田)

ママたちの相談は、「卒乳」「寝かしつけ」「夜泣き」「離乳食」など、毎回共通していました。そして同じような内容の質問にも、助産師さんたちが、一人ひとりのママに合わせたアドバイスをしていることに、感動しました。同じ卒乳相談でも、赤ちゃんの発育の様子、ママの状況(周りの意見に影響されている、復職を控えている、二人目を考えている、等)に応じて、まったく違うアドバイスになっていました。
育児の悩みは、アドバイスをもらったからと言って、その通りにして解決することばかりではないと思います。それでも、大きなヒントになるので、ママたちの安心感は大きいのではないでしょうか。
また他のママの悩みやアドバイスを聞くことで、「私だけじゃないんだ」と孤独感からの解放にもなるでしょう。初めての育児なら、なおさら、藁にもすがる思いで質問するのでないかな、と感じました。とても意義のある茶話会だと思いました(スタッフ栗原)

終了の時間がきても、助産師さんとお話したいママたちがたくさんいました。そこでは、ちょっと気になっていることを相談しているようでした。なんでもないことでもお話しすることで、アドバイスももらえ、安心できたようでした。自分のなかでもやもやしていることも、専門家の方に「大丈夫よ」と言ってもらうと、心強いです。自分の子育てを振り返ると、(児童館などでの歯科衛生士さんの相談日はありましたが)助産師さんに相談する機会はなく、あのとき、いろいろ聞きたいことがあったなあと思いました(スタッフ外山)

「いつまで、でしょうか」「いつから、でしょうか」ということばがでるたびに、あのころの私に引き戻されました。
離乳食を与えながら、あと2食、あと1食……と数えていたことを思い出します。そして、いつまでこういう生活が続くのか、と思っていました。振り返ると、赤ちゃん育てや子育て時代は、いっしょにいるだけでも豊かな時間だったと思えるのですが、初めての子育ては、毎日がいっぱいいっぱいです。
ここ古民家mamasや、あちこちの「おでかけひろば」「子育てサロン」に出向いてくだされば、「いつまで」「いつから」と思い詰めなくても、みんながやっていることを、自分もやっているんだと思えます。自分のなかの不安に気づくのも、大事なことのように思います。
ひろばが、子育てを応援する人々や地域と出会う第一歩となることは、私たちスタッフの願いです。今回、茶話会をご快諾くださり、ママたちの質問にこたえてくださった助産師さんに、心から感謝をしております。ありがとうございました(古民家mamas代表 吉原)






主催:古民家mamas
協力:【一般社団法人東京都助産師会世田谷地区分会】岩佐寛子、中園美智代、中西貴子
 【つだ小児科クリニック】院長 津田正彦
 【NPO法人ここよみ】
 【古民家mamas】オーナー&顧問 鈴木誠夫
撮影:松本のりこ